ウズベキスタンに着任して最初の夏休み、私はキルギスへ避暑に出かけた。
好意でキルギスであちこちを案内してくれたマクサットさんは
私達よりほんの少し年上なくらいだったが とても落ち着いた人で、
私達がウズベキスタンから来たということもあってか、
車内のBGMに Ялла(Yalla
ヤッラ)を選んだ。

―Yalla は ペルシャ系の言葉がもとで Let's Go! という意味だよ。
ソビエト時代に流行ったグループだけど、
ウズベクの出身さ、今も有名だよ。
と教えてくれた。
とても耳馴染みの良い 懐かしいメロディーで、
Yalla と言う名前はすぐに覚えることができた。
その後 ヨルダンに行った時、ドライバーが Yalla yalla! と言うのを
よく耳にした。
あちらでは今でも さ、行こ 行こ! と使う言葉なのだ。
ウズベク語では yalla よりは やっぱり Ketdik(
ケッディク)の方が
一般的だし、タシケントでは男の子たちが さらに縮めて Ketdu (
ケットゥ)! と言ったりする。
私も ケットゥ ケットゥ を好んで使っていたけれど、
言うと大抵笑われた。
行こうぜ とか、或いは さ、行った行った 的なニュアンスなのかもしれない。
そんな訳で 私には Yalla は やはり Let's Go ではなくて
グループの名前という印象の方が強い。
フォークグループ、と言って良いのだろうか。
ソビエト時代なのでロシア語で歌っているけれど
題材はどれもウズベクの田舎の風景を切り取ったもので
旋律もフォークロアな感じ、
懐かしい様な どこか寂しい様な そういう曲が目立つ。

モスクワなんかで聞いている人にとっては、
たまらなくエキゾチックに響いたのではないだろうか。
例えて言うなら、本州の人間が聞く 沖縄の 島人ぬ宝 とか 涙そうそう のような。
或いは、いい例えではないかもしれないが
チョー・ヨンピルの 釜山港へ帰れ がヒットした感じ、と言った方が良いのかもしれない。
近い様でいてよく知らない、でも懐かしい、行ってみたくなる土地の歌
そんなイメージだったのだろうと思う。
未だに、ロシアの コメディクラブ などの バラエティ番組では
中央アジアをネタにしたコント(もしも旦那さんがタジク人だったら とか
もしも上司がカザフ人だったら みたいなコント)をやる時に
Yala がBGMにかかる程、中央アジアを代表するメロディーとして定着している。
その Yalla、 先日紹介した
サマルカンドのドーム などよりずっと流行った曲がある。
いまでも 街やテレビや結婚式などで耳にするし、
Yalla のボーカル ファルフ・ザキロフは テレビ出演はもちろん

有名レストランなどでディナーショーやコンサートも精力的に行っているからだ。
彼らの最大のヒット曲は
彼らの出身地をモチーフにした Уч кудук('Ochi Kuduk
ウチクデュク)。
三つの井戸 と言う意味の地名で、ソビエトでは
ロシア語の три колодца として発表された。
熱い太陽に照らされる中 旅してきたキャラバンの渇きをいやす
砂漠のオアシス ウチクデュクの三つの井戸よ
と言うような歌詞で、ウチクデュクの名が連呼される。
でもこれは日本人なら多分 十中八九 ♪ウチくる~ と聞こえる。
空耳アワーに投稿したいと常々思う程だ。
さぁ、聞きたくなったでしょう。
思わず井戸の水が欲しくなる超砂漠なPVは
コチラ。
ロシア語の歌詞は
コチラ。
ちなみに↑歌詞サイトの 上方にある
♪ Тональность ►Плюсовки
というところ、
♪ Тональность でキーの高低と テンポの遅い早いを選んで
Обработать
を押すと確定、
►Плюсовки から 歌入り、カラオケ、などのバージョン別音源を選んで
再生することができる。
これであなたも ウチくる をマスター、ウズのカラオケで歌えます。
他の名曲は、
Шахрисабз (
シャフリサーブス)動画は
コチラЧайхана(
チャイハナ) 動画は
コチラКараван(
キャラバン)※あまり素敵な動画は無し
Чинури(
チヌリ)※あまり素敵な動画は無し
など。
この
Yallaの曲一覧から 曲名を探せば
先の 歌詞と音源のページに飛べる。
私は スマホに入れて 目覚ましに設定してあるので
未だに毎朝聞いていて飽きないし
桜見ながら Yallaを聞いていると
あぁ去年の今頃はウズの桜を見ていたのになぁ、と とってもノスタルジー。
今のウズポップスも良いけど、
ウズの誰もが知る 懐メロも、ぜひどうぞ。